テープ起こしの要約とは?

前回はテープ起こしのやり方について紹介してきましたが、ケバ取りが起こし方の中で最もポピュラーなのに対し、最もマイナーな起こし方というのが今日紹介する「要約(サマリー)」になります。

テープ起こしの仕事をしている中で、要約は最も依頼の少ない起こし方になりますが、どうして需要がないのでしょうか?…要因の一つとして、用途が限定されてしまうことがあげられます。

テープ起こし 要約

要約(サマリー)とは?

要約というのは、テープ起こしをした原稿をクライアント(依頼人)の希望の文字数にまとめて、見出しをつけたり、チャプター分けをしながら起こす方法になります。

そのため、録音された音声の内容をすべて把握したいというクライアント(依頼人)には不向きな起こし方といえます。

 

要約の用途について

最適といえる要約の用途としては、講演や講義などで一人の話し手がずっと話しをされている録音になります。逆に会議などで複数のスピーカーが短く発言されている録音には適していません。

要約というのは、はじめに粗起こし(あらおこし)を行って、納品する際は要約された原稿のみというのが一般的になります。

そのため、全体の原稿を見ながらまとめたいというクライアント(依頼人)は、整文を依頼されて自身でまとめられているケースが多いです。

 

要約は難しい?

録音された話しの内容をただまとめるだけなら、それほど難しくないようにも思えますが、やってみるとこれがなかなか難しい作業なのです。

こちらが重要だと考えて残したセンテンス(文)も、クライアント(依頼人)から見ると、必要ないものだったりする場合もあるからです。

長時間の録音を指定された文字数まで減らすという作業も、かなり神経を使う作業になります。

テープ起こしのやり方について

テープ起こしを有料で請け負うテープ起こし業者では、詳細な料金プランを設けていますが、クライアント(依頼人)の求める目的によって、主に3つのやり方に分かれます。

テープ起こし やり方

ケバ取り

ケバ取りというのは、話の内容と全く関係のない「あー」や「えー」といった、意味のない言葉や声、言い間違えなど、不要箇所を削除・修正して書き起こす方法になります。

不要箇所の削除や修正など編集作業が必要になってくることから、料金が高くなると思われがちですが、たいていは、素起こしより若干安くなっています。

素起こしでは、すべての音声をテキストに書き起こさなければいけないため逆に手間がかかることから、業者的にはケバ取りのほうが歓迎されるケースが多いです。

 

素起こし

素起こしは、「まる起こし」とも言われているように、会議、講演、シンポジウム、インタビューなどの音声を、そのままテキストに起こす方法になります。

分かりやすく説明すると、会話に含まれている「えー」や「あのー」「えーと」といった発声もそのまま書き起こします。つまり聞いたままの内容がテキストになるわけです。

 

整文

その他には、「整文」というプランもあって、ケバ取りをしたテキストを喋り口調ではなく、語尾を「です・ます」、「である」などに整えて意味が通る文章に直します。

いい例が有名人などが出版している自伝です。自伝は、本人の録音された音声をテキストに起こして書籍として整えるわけですが、ケバ取りだけで意味が通る文章に仕上げるのは難しいため、意味が通るように整文化しています。

 

テープ起こしの音声の起こし方には、ケバ取り、素起こし、整文と、主なプランはこの3通りになりますが、作業料金に関しては、「ケバ取り<素起こし・整文」となっているのが一般的です。

なお、作業担当者によって、素起こし・整文については、認識の違いがあるのが現状です。素起こしを依頼したら、ケバ取りに近い状態で上がってくるケースもあるようなので注意が必要になります。